髭剃りメーカーのジレットが変えた「消耗品で儲ける」ビジネスモデル

ジレット社のビジネスモデルが生まれた背景
ジレットが替刃式髭剃りを発売した1900年前後は、高度な工業製品がまだまだ世の中に出回っていない時代でした。その時代の髭剃りと言えば、ナイフのような形の髭剃りを使ってまさに剃っていた時代で、刃が鋭利じゃなくなれば、ヒゲをそる前に研いで使う必要がありました。
ペインポイント
当時の髭剃りに対するユーザーのペインポイント(不満点)は、
- 毎回髭剃りを研ぐ必要がある
- 髭剃りは刃が分厚く重い
という点でした。
これを逆転の発想で実現したのが、ジレットの替刃式髭剃りでした。
ジレット社のビジネスモデル
替刃という発想の転換
ジレットの替刃式髭剃りは、「髭剃りは研いで使うもの」という常識に捉えられず、発想を転換したことで生まれました。
| 従来の髭剃り | ↔︎ | ジレットの髭剃り |
|---|---|---|
| ナイフのような形で分厚く重たい | ↔︎ | 軽くて薄い |
| 毎回研いでから使う | ↔︎ | 切れ味が悪くなったら刃を交換する(使い捨て) |
この替刃式というスキームは、ユーザーにとって使い勝手がいいだけでなく、メーカー(この場合はジレット)としても「使い続けてくれれば、売上が上がり続ける」という非常に大きなメリットのあるスキームになっています。
消耗品で利益をあげるスキーム
ジレットのビジネスモデルは、「使い捨て」というところが一つのポイントですが、ジレットの替刃式髭剃りがヒットしたもう一つの理由は、価格設定です。
ジレットの髭剃りは、既製品の常識を覆す画期的な製品でありながら「本体で利益を出さず、消耗品で利益をあげる」というビジネスモデルを取っていたことで、大きくシェアを取得することができました。
- 本体:極力安く
- 替刃:しっかりと利益を取る
本体にある程度の耐久性があれば、替刃は2、3回は追加で購入してもらえる、それならば「まずは導入のハードルを下げて、とにかくユーザーに手にとってもらおう」という発想です。なぜなら、ジレットからしたら「使い続けてくれれば、売上が上がり続ける」わけですから、とにかく使ってもらうことが大事なのです。
ジレットと似たビジネスモデル
このジレットの消耗品で利益を上げるモデルは、現在でも様々なビジネスで取り入れられています。
インクジェットプリンター
インク、トナーという消耗品が絶対に必要なインクジェットプリンターは、本体の価格をなるべく安くし、インクやトナーで利益をあげるという、典型的な「消耗品型ビジネス」です。
携帯電話
携帯電話を新規で契約すると、携帯電話本体を大幅に値引きしてくれます。
これは、本体価格を下げても、その後に回線費用や電話代で値引き額を上回る利益があげられるからです。
ジレットのビジネスモデルについて見てきました。
現在では、男性向けだけでなく女性向けのシェーバーなど「替刃式髭剃り」という単純なビジネスを元に幅広く売り上げをあげているジレット。
「既製品の逆の発想」と「消耗品で利益をあげる」という掛け算は、様々なビジネスで応用ができるので、ご自身のビジネスに当てはめていろんなビジネスプランを考えてみてください。
